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細菌と熱ショツク蛋白質
西村 仁志
1
,
吉開 泰信
1
1名古屋大学医学部付属病態制御研究施設生体防御研究部門
キーワード:
細菌感染症
,
熱ショック蛋白質
,
アポトーシス
Keyword:
細菌感染症
,
熱ショック蛋白質
,
アポトーシス
pp.472-473
発行日 1996年4月15日
Published Date 1996/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902894
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ストレス蛋白質(熱ショック蛋白質:hsp)はさまざまなストレスに応答して発現し,あるいは発現量が増加して細胞内での蛋白質の集合や輸送を助ける.また,さまざまなストレスによって細胞内に生じるunfolding蛋白質のfoldingを行い,細胞自身の防御に働く.細菌感染症において,宿主と寄生体の関係を考えた場合,両者間で相同性の高いhspはおのおのの生物の中で類似した機能を示すと考えられる.
細菌は宿主に侵入した際,さまざまなストレスにさらされることになる.皮膚などの物理的バリアを突破すると血清中のリゾチームや補体,さらには食細胞により殺菌作用を受ける.細菌にとってこれらのストレスをいかにかわすかにより,その細菌の運命が大きく左右される.特に,細胞内寄生性細菌において,これらのストレスをうまくかわすために用いられる病原遺伝子の重要性が示されている.病原遺伝子のうちの多くが,ストレス応答と関わりを持つことが報告された.マクロファージに貪食されると酸素ラジカル,塩基性殺菌蛋白質,加水分解酵素によって殺菌が試みられる.Salmonella typhimuriumは貪食されたのち2時間で30以上のストレス蛋白質を発現する1).この発現した蛋白質の中には,hspであるGroEL (hsp 60ファミリー)やDnaK (hsp 70ファミリー)が含まれる.
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