一口メモ
GlST(gastrointestinal stromal tumor)
逸見 明博
1
1日本大学医学部附属練馬光が丘病院病理
pp.1294
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904556
- 有料閲覧
- 文献概要
消化管の粘膜下腫瘍は多くが平滑筋腫瘍として扱われてきたが,これらにはデスミンが陰性でビメンチン陽性を示す腫瘍が含まれていた.胃腸管間質腫瘍(GIST)とは,このように由来を判定しきれない腫瘍につけられた病名である.しかし,平滑筋あるいは神経など種々のマーカーの開発に伴い詳細な検索が行われると,特定の分化のみられない狭義のGISTに加えて平滑筋や神経分化を示すもの,あるいは両者の特徴までみられる腫瘍が存在し,GISTと平滑筋腫瘍あるいは神経性腫瘍との鑑別や分類に新たな混乱が生じてきた.
ところが新たな展開がみられた.消化管には以前よりカハールの間質細胞(ICC)の存在が知られているが,最近になりこの細胞が自律神経と平滑筋との間に介在し一種のペースメーカー細胞としての機能を有し,kitレセプターやCD 34を発現することが判明した.これらのマーカーでGISTを検索すると,多くがkitレセプターやCD 34陽性を示していた.ICCは神経細胞と平滑筋細胞の両者の形態的特徴を有しており,このことはGISTの分化の多様性とよく合致していた.このようなことから最近はkitレセプターやCD 34陽性を示しICC由来と考えられる腫瘍を狭義のGISTとして扱う傾向にある.細胞診は術中に組織診に併用すれば有用である.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.