今月の主題 脂質代謝関連検査項目についての再検討
巻頭言
脂質代謝関連検査項目の再検討
高橋 伯夫
1
Hakuo TAKAHASHI
1
1関西医科大学病態検査学講座
pp.1049-1051
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904500
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1.時代が求める脂質関連検査
社会の高齢化に伴い,動脈硬化症を基盤として発症する脳血管障害(血管性痴呆),虚血性心疾患(狭心症,心筋梗塞),腎障害(腎不全),閉塞性動脈硬化症(ASO)などが社会問題として注目されている.動脈硬化症の危険因子では高血圧,糖尿病,高尿酸血症などと同等かそれ以上に重要なのが高脂血症である.高脂血症,特にLDLコレステロール(Chol)の増加により動脈硬化症の発症頻度が高まることは周知である1).すなわち,疫学的に飽和脂肪酸を多量に食する習慣を有する民族では虚血性心疾患の発症頻度が明らかに高いこと2),スタチン系高脂血症治療薬の長期投与でLDL-Cholを持続的に減少させた際には虚血性心疾患の二次予防だけでなく一次予防にも有効であることなどから明らかにされている3).このほかにもさまざまな動物実験結果から高脂血症が動脈硬化の発症と進展に重要な役割を演じることについては明確にされている.
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