シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 用語解説編
用語解説・1
舩渡 忠男
1
,
阿部 美有樹
1
Tadao FUNATO
1
,
Miyuki ABE
1
1東北大学大学院医学系研究科病態制御学講座分子診断学分野
キーワード:
組換えDNA技術
,
ベクター
,
クローニング
,
コンピテント細胞
,
遺伝子導入
,
形質転換
,
transformation
,
キメラ遺伝子
,
細胞周期
,
翻訳後修飾
,
dominant negative effect
Keyword:
組換えDNA技術
,
ベクター
,
クローニング
,
コンピテント細胞
,
遺伝子導入
,
形質転換
,
transformation
,
キメラ遺伝子
,
細胞周期
,
翻訳後修飾
,
dominant negative effect
pp.95-101
発行日 2000年1月15日
Published Date 2000/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904300
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組換えDNA技術
組換えDNA技術は,DNAを扱う多くの手法が統合され,遺伝子を単離し,増幅させ,遺伝子産物の機能解析を可能とする遺伝子工学の強力な手段である.すなわち,この技術の基本は,細胞内染色体を切断して特定部位での末端を持つDNA分子にする技法と,得られたDNA断片を分離して塩基配列を決定する技法である(図1).前者においては,細菌由来の制限酵素によるDNA特定部位での切断により,種々の遺伝子の操作,特にDNA切断部位同士の結合が容易となった.後者では,任意のDNAの塩基配列を決定できるようになった(シークエンス法).さらに,組換えDNA技術は特定の塩基配列を核酸ハイブリッド形成反応により,細胞内,染色体,DNAである核酸プローブと相同性を持っDNA断片を迅速に検索しうる手法により展開した.したがって,遺伝子解析におけるこれら一連の技術はあらゆる生物現象の解明に有力な手段であり,今日遺伝子を扱うあらゆる研究室での基本的技術として用いられている.最近では,細胞の染色体に遺伝子の一部を組み込むことが受精卵や植物などで可能となり,トランスジェニックマウス,遺伝子組換え食品,医薬品(ワクチンなど)などに利用され応用範囲が広がっている.
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