トピックス
color-Doppler法を用いた甲状腺濾胞癌の診断
福成 信博
1
,
宮島 邦治
1
,
三村 孝
1
,
伊藤 公一
1
,
伊藤 國彦
1
1伊藤病院外科
キーワード:
甲状腺癌
,
濾胞癌
,
color-Doppler法
,
腫瘍血流
,
超音波
Keyword:
甲状腺癌
,
濾胞癌
,
color-Doppler法
,
腫瘍血流
,
超音波
pp.1032-1035
発行日 1999年9月15日
Published Date 1999/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904177
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1.はじめに
甲状腺悪性腫瘍は,乳頭癌,濾胞癌,髄様癌,未分化癌の4つに分類され,日本においては,乳頭癌88%,濾胞癌7%,髄様癌,未分化癌はそれぞれ1%程度の発生頻度である.乳頭癌が多くを占め,1cm以下の微小癌も含めて,90%以上が診断可能であるのに対して,濾胞癌はいまだに超音波および細胞診によってもその診断率は50~60%というのが現状である.濾胞癌は,血行性転移をきたしやすく,遠隔転移率が乳頭癌より高いという報告もあり,米国では,10mm以下の小さなものでも全摘+RI治療が勧められている1).しかし,その診断に関しては,術前の診断のみならず術後の病理組織診断においても,被膜浸潤や脈管浸潤の判定が困難な症例もあり,手術の適応,術式の選択,術後の追加治療,経過観察の指標など臨床的判断において苦慮する場合も多い.
color-Doppler超音波断層法は,当初は,心・大血管などの高速血流の血行動態解明が主たる対象であったが,機器・手法の感度の向上により,細い血管の遅い血流までも観察可能となり,乳腺,甲状腺といった体表臓器に対しても施行されるようになってきた2).われわれも1987年ごろより,color-Doppler法を甲状腺腫瘍に対して臨床応用を開始し,甲状腺疾患,特に濾胞癌診断において有用な知見が得られたので,その具体的な方法と臨床的有用性について述べる.
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