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低形成白血病(hypoplastic leukemiaあるいはhypocellular acute leukemia)は骨髄が低形成にもかかわらず芽球の増加が認められる急性白血病の一病型である.成人急性白血病の約10%を占め,高齢者に多く治療難反応性である.典型的低形成白血病は,汎血球減少症を呈し,末梢血中の芽球も少なく,ときには認めないこともあるため,再生不良性貧血や骨髄異形成症候群(MDS)との鑑別が重要となる.したがって,診断は骨髄穿刺標本による細胞形態観察と同時に骨髄生検による骨髄低形成の確認が大事である.
骨髄は,hypocellularであるが芽球の増加が認められ,これらの芽球はFAB分類可能な急性白血病で認められる芽球と本質的に異なることはない(図1).相対的リンパ球増多を呈することが多く,全有核細胞中芽球が30%に満たないことがあるが,リンパ球を除くと30%以上となる.前述したように低形成骨髄であることは骨髄生検で決定するのが最もよいが,骨髄生検が困難な場合にはclot sectionでも十分有用である.また,全身骨髄のMRI検査が,骨髄cellularityを評価するうえで大いに参考となる.骨髄生検像は図2に示すように,著明な低形成骨髄すなわち芽球や造血細胞は多くの脂肪細胞の間隙に認められるのみである.低形成白血病の芽球は,ミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase; MPO)活性が低いことが多い.図3にはMPO陰性芽球が多い中に陽性芽球を示す.MPO陽性率が低く,ときに3%未満であっても抗MPO抗体による免疫細胞化学法では,陽性のことがしばしばある.また,CD13陽性であることも多く(図4),リンパ性抗原を示すことはほとんどない.
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