Topics 1998
Emerging/Re-emerging Infectious Diseases (新興・再興感染症)
岡部 信彦
1
1国立感染症研究所感染症情報センター感染症情報室
pp.1454-1456
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903904
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1.感染症の変貌
かつて"病気"と言えば感染症(伝染病)がその代表であったが,抗生物質やワクチンの開発と普及・衛生環境の向上・栄養状態の改善などにより,かなりの感染症は激減した.その結果,あたかも感染症は簡単にコントロールができるものかのような錯覚が持たれ,一般の人々の"感染症(伝染病)"に関する警戒心は薄らいでしまった.医学教育・研究部門までもが感染症の分野は縮小され,感染症の診断と治療に関する医療センスは低下した.
人類が人類の手によって完全に制圧することができた感染症は,これまでに天然痘ただ1つである.一方ではこれまでに存在しなかった感染症,病原が証明されるなど感染症であることが明らかになった疾患,すでにわれわれの目の前から姿を消してしまったかのようになっていたが再び姿を現してきた感染症の数はむしろ増加している状況にあり,新たなる問題がわれわれの前に投げかけられている.
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