特集 感染症診断へのアプローチ
総論
Ⅲ.臨床微生物検査法の進歩―4.分子生物学的診断法とその応用
平井 一弘
1
Kazuhiro HIRAI
1
1大分医科大学第2内科
pp.1244-1250
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903886
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1.はじめに
感染症における遺伝子診断は,臨床材料から微生物のターゲットとするDNAやRNAを抽出し,その遺伝子に相補的な一本鎖DNAを調整する.それにラジオアイソトープやビオチン,ケミルミネッセンスなどを標識したDNAプローブを作製して行い,微生物の存在を推定または証明することできる.さらに分離した微生物を増殖後,遺伝子診断することによってより精密な微生物の同定も可能となる.
用いられる遺伝子診断の手法は多々あるが,目的とする微生物の核酸が多量に存在することが想定される場合には,核酸を増幅しないで行うハイブリダイゼーション法や核酸プローブ法が用いられる.また,目的とする核酸が微量でハイブリダイズするためには少なすぎるようなときには,標的とする微生物の核酸をあらかじめ,サーマルリアクターなどによって増幅しておいて確認するpolymerase chain reaction (PCR)法やプローブ自体を増幅するligase chain reaction (LCR)法などの増幅法が用いられる.さらに,感度の向上をねらったbranched DNA probe system (分枝鎖プローブ法)なども用いられている.
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