今月の主題 受容体
巻頭言
受容体異常とシグナル伝達の破綻
菅野 剛史
1
Takashi KANNO
1
1浜松医科大学臨床検査医学
pp.843-844
発行日 1998年8月15日
Published Date 1998/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903798
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生体内では,いろいろの細胞と細胞との間で,また細胞の中で化学物質を介して情報の伝達が行われている.そして,この情報伝達(シグナル伝達)の機構の破綻が,多くの疾病の原因となっていることが明らかにされつつある.それらの異常は受容体の異常であったり,細胞内シグナル伝達物質の異常であったり細胞周期制御にかかわる因子の異常であったりと,内容は多彩であり,新たな機構がさらに加えられたりしている.この多彩なシグナル伝達異常の中から,この号では受容体の異常によるシグナル伝達の破綻をまとめることとした.
これら受容体には,細胞膜表面の受容体としてチロシンキナーゼ型受容体,G蛋白共役型受容体,サイトカイン受容体などがあり,細胞内受容体としてステロイド受容体などが挙げられる.また,これらの受容体異常は内分泌疾患でのホルモン不応症に始まり,免疫不全症,悪性腫瘍,ひいては神経筋異常症まで内容が多彩である.この号でこれらの受容体異常症と疾患群をすべて網羅することは不可能であるので,基本的な考え方と,臨床検査の観点からその診断法に焦点を合わせてまとめてみることとした.
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