特集 神経系疾患と臨床検査
Ⅳ.画像診断
1.超音波検査
7)術中頭蓋内超音波検査
堤 裕
1
,
野口 信
2
Yutaka TSUTSUMI
1
,
Makoto NOGUCHI
2
1前東京逓信病院脳神経外科
2東京逓信病院脳神経外科
pp.1467-1471
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903527
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はじめに
このタイトルは頭蓋内超音波検査となっているが,内容的には脳内に埋没した病変の脳表よりの検索,病変およびその周辺における血管などの解剖学的情報の取得など,検査というよりはむしろ脳内病変の摘出,あるいはそれに準じた操作を安全かつ順調に行うためのモニタリングという感覚と捉えていただきたい.脳表からの超音波像であっても,病変の性格を判断せんとするいわゆる組織診断という意味に関しては,現時点においてはまだ満足できる段階とは言えないからである.
超音波反射法が開頭術中に用いられたのは決して最近のことではない.超音波の臨床応用が開発され始めた初期,つまり40年以上前に既に順天堂大学グループによって手がけられていた事実がある.しかし,Aモードの装置しかなかった時代であり,1次元の情報しか得られなかったこともあって,あまり顧みられず,普及するに至らなかったのである.その後十数年経て,いわゆるハンディーな探触手による高速スキャン装置が開発されたことにより,1980年にBモードによる開頭術中の応用1)が報告されることになった.この時点での利用価値は,脳表からは確認が困難な脳内病変に対する,"ここ掘れワンワン"的ガイダンス2,3),摘出途次における遺残病変の有無確認4),そして低侵襲での脳内病変生検にあった5).しかしBモードにドプラによる血流情報を重畳することが可能になった現在では,上記の利点に加えるに,血管の解剖学的情報が得られることによる手術の安全性の増加をも挙げることができるのである.
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