今月の主題 フローサイトメトリー―最近の進歩
技術解説
細胞周期とDNAインデックス
井上 勝一
1
,
津田 真寿美
1
,
飯塚 雅由
1
Shoichi INOUE
1
,
Masumi TSUDA
1
,
Masayoshi IIZUKA
1
1北海道大学大学院地球環境科学研究科環境情報医学講座
キーワード:
細胞周期
,
サイクリン
,
サイクリン依存性キナーゼ
,
Cdk
,
DNAインデックス
Keyword:
細胞周期
,
サイクリン
,
サイクリン依存性キナーゼ
,
Cdk
,
DNAインデックス
pp.1123-1130
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903439
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正常細胞と癌細胞を区別する最も大きな要素は,DNAに生じた異常と細胞増殖の速度である.正常細胞の細胞周期の運行は,細胞周期の各期に一致して生成・分解されるサイクリンと全細胞周期にみられるサイクリン依存性キナーゼ(Cdk)との複合体の形成によりCdkがリン酸化されることにより進められる.正常細胞の細胞周期は外部刺激を受けて増殖,分化,もしくはアポトーシスに向かい,さらに,多くのチェックポイントで,細胞周期の進行の過程で生じた誤りが修復される.癌細胞ではこうした一連の過程に何らかの変化が生じる頻度が多いが,これに対するチェック機構が破綻しており,無秩序な細胞増殖へと進む.以前から,DNAに生じた変化は染色体分析やフローサイトメトリーによるDNAインデックスなどの測定により行われてきた.また,細胞周期についても,DNAヒストグラムの解析やブロモデオキシウリジン(BrdUrd)のS期細胞への取込みを測定することにより解析されてきたが,さらに,今日ではサイクリンとDNAを二重染色しフローサイトメーターで測定することにより,がん細胞の細胞周期各期に発現しているサイクリン量などが研究されている.
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