感染症の検査法 Ⅲ 検査法各論
[6]同定法
B 種別同定法
6 真菌
①酵母様真菌
篠田 孝子
1
,
西川 朱實
1
,
池田 玲子
1
1明治薬科大学田無校微生物学教室
pp.846-854
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205058
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酵母(yeast)とは,出芽(budding)または分裂(fission)により増殖する真菌である.元来,酵母とは糸状菌(mold)とともに真菌の発育形態に対して与えられた呼称であり,分類の専門用語ではない.多くの酵母は出芽型酵母で,生活環の大部分を酵母型(yeast form)で過ごすが,栄養や物理的環境条件で菌糸型(hyphal〔mycelial〕form)をとることもある.糸状菌は菌糸型をとる多細胞真菌であるが,生活環の1ステージとして酵母型をとる場合もある.
ここで取り扱う酵母は,酵母の分類書として世界的に普及している "The Yeasts, a Taxonomic Study"(Kreger-van Rij編,第3版,1984)1)に収録されている菌種(60属,500種)に限定しておく.酵母と酵母様真菌(yeast-like fungi)の相違は,前者が有性生殖および無性生殖により増殖するのに対し,後者は無性生殖によってのみ増殖する単細胞性の出芽型真菌であるという点にある.したがって有性世代が発見されていない酵母は酵母様真菌として取り扱われるが,ここでは酵母として統一しておく.
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