今月の主題 Helicobacter pylori
総説
Helicobacter pyloriと胃疾患
榊 信廣
1
Nobuhiro SAKAKI
1
1東京都立駒込病院内視鏡科
キーワード:
H.pylori
,
胃潰瘍
,
胃癌
Keyword:
H.pylori
,
胃潰瘍
,
胃癌
pp.137-144
発行日 1997年2月15日
Published Date 1997/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903233
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H.pyloriは炎症細胞浸潤を主体とする胃炎の原因であり,消化性潰瘍,胃癌,胃リンパ腫と関係していると考えられている.H.pyloriの持続感染による慢性活動性胃炎は,胃粘膜萎縮を進行させ,結果として胃癌が発生しやすい環境をつくっている.また,それは潰瘍再発と深く関係している.H.pyloriの除菌は,好中球浸潤を中心とした炎症細胞浸潤を消退させ,治癒の質の高い潰瘍瘢痕をつくることにより胃潰瘍再発を抑制し,さらにMALTリンパ腫を治癒させる.しかし,H.pyloriの除菌によって胃粘膜萎縮が改善するか否か,そしてそれが胃癌の予防につながるか否かは,今後の検討課題である.
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