特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査
血栓症の検査
1.血小板の検査
11)血漿グリコカリシン
国島 伸治
1
Shinji KUNISHIMA
1
1愛知県赤十字血液センター研究課
pp.95-97
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903089
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はじめに
血小板膜糖蛋白(GP)Ib/IX複合体はフォン・ウィルブラント因子の受容体として一次止血に重要な役割を担っている血小板特異的蛋白質であり,GPIbα,GPIbβ,GPIXから構成されている.血小板破壊あるいは血小板膜損傷があると,内因性の蛋白分解酵素(カルパイン)などがGPIbαの膜貫通部位直上を限定分解し,この分子の細胞外部分のほとんどを占めるグリコカリシンと呼ばれる可溶性膜抗原を遊離する(図1).グリコカリシンの血漿中濃度は血小板の産生と破壊のバランスにより規定され,血小板の活性化あるいは局所的な血小板消費とは相関しないと考えられている.最近の研究によって,グリコカリシンは血小板膜損傷の特異的指標として,血小板減少症の鑑別診断に有用であることが明らかになった.本稿では,われわれが開発した測定法によって得られた知見を中心に概説する.
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