特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査
血栓症の検査
1.血小板の検査
5)散乱光を用いた粒子計測法による血小板凝集能
佐藤 金夫
1
,
尾崎 由基男
2
,
矢冨 裕
1
,
久米 章司
2
Kaneo SATOH
1
,
Yukio OZAKI
2
,
Yutaka YATOMI
1
,
Shoji KUME
2
1山梨医科大学臨床検査医学
2山梨医科大学臨床検査医学教室
pp.77-80
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903083
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はじめに
血小板は生理的な止血機構の中心的な役割を演じていると同時に,心筋梗塞・脳梗塞などの病的血栓の形成にも重要な役割を果たしている.血小板の機能を評価することは血栓傾向あるいは血栓準備状態の発見,および,それらの病態解明において有用な情報を提供すると考えられる.血小板機能検査には粘着能,凝集能,放出能などが挙げられるが,なかでも血小板凝集能は血小板機能検査の中心的位置を占めている.
血小板凝集能の検査法には,血小板凝集の程度を光透過性(吸光度)の変化を利用して測定する吸光度法1),血小板凝集塊が電極に付着する際に起こる電位の変化を捉えるインピーダンス法2),凝集塊の形成に関与していない単一血小板の数から凝集の程度を知る粒子数算定法3),アゴニスト添加なしにずり応力によって血小板を凝集させるshear-induced plateletaggregation (SIPA)4)があるが,臨床検査では吸光度法が最も汎用されている.しかし,吸光度法は数千個の血小板から成る巨大凝集塊が形成されて初めて吸光度の低下がみられるため,血小板凝集塊の形成と光透過性の相関が悪く,また,小凝集塊の検出ができない,などの難点がある.われわれはこれらの問題を解決すべく,新しい測定法(粒子計測法)に基づく血小板凝集能測定装置(AG-10;興和株式会社)を開発し5),その有用性について検討している.
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