Senior Course 血液
ヘマトクリットと赤血球恒数
黒川 一郎
1
1札幌医大,中検部
pp.354-355
発行日 1976年3月15日
Published Date 1976/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909327
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Wintrobeが赤血球恒数(Constants)を提唱したのは1929年といわれるが,それ以前から赤血球の容積と血色素量(Hb)との関係について関心がもたれ,ColorIndex (Hayem),Volume Index (Capps)などの概念が提示された.また,Price-Jonesは自己の血液を調べ,静止したとき(A),歩行時(B),疾走時(C)の赤血球の直径を比較し,C>B>Aの順序の大きさであることを認めた.この赤血球数,ヘマトクリット(Hct),Hbの三つの数値からMCV, MCH, MCHCが計算される.血球数,Hb測定法が当時なりに確立したあとを受け,Wintrobeがヘマトクリット(ヘマト=血液,crit=診断する)を行ったことと関係があろう.
Hct測定はWintrobe管による遠心法から微量高速遠心法に移った.更に血液の電気抵抗を測定する方法が工夫された.赤血球が直流電流に対して抵抗が大きく,電導度の低下が認められるので,これを利用して値を測定せんとするものである.便利な迅速法であるが,血漿タンパク濃度による影響が大きく,濃度が低下するとHct値が低下する.また二重シュウ酸塩のような電気伝導性の高い抗凝固剤を用いると,やはり計数値は低下する.最近は血球希釈液中の血球信号を電気的に積算する方法が現れ,今後発展しそうである.
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