目でみる症例―検査結果から病態診断へ・36
心房内に発生した心臓腫瘍・粘液腫の超音波画像
増田 喜一
1
,
田中 教雄
1
,
片山 善章
2
Yoshikazu MASUDA
1
,
Norio TANAKA
1
,
Yoshiaki KATAYAMA
2
1国立循環器病センター生理機能検査部
2国立循環器病センター臨床検査部
pp.1431-1434
発行日 1995年12月15日
Published Date 1995/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902774
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超音波画像の解釈
心臓腫瘍は,超音波検査(心エコー図検査,図1)により偶然に発見される場合が多い.中でも粘液腫は日常臨床で遭遇する機会が最も多く,左房を好発部位とした原発性の良性腫瘍である.次いで右房,左室,右室の順で心室発生はきわめて少ないとされる.本例は左房(症例1)および右房(症例2)に発生した粘液腫である.心房内での付着部位は心房中隔の卵円窩付近が多く,通常有茎性であるため可動性に富む.
断層心エコー図では心運動に伴い心房―心室間を往復する卵円形ないし球形の塊状エコーとして描出される(図1―a~c,矢印).左房に発生した粘液腫の場合,収縮期に左房内の塊状エコーは拡張期には僧帽弁口に嵌頓し,血液の左室への流入障害により僧帽弁狭窄症(MS)とよく似た血行動態を呈する.一方,右房に発生した場合には三尖弁口を閉塞し,三尖弁狭窄症と同様の血行動態を呈する.
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