特集 免疫組織・細胞化学検査
臓器別応用例
4.内分泌系
1)下垂体
前田 環
1
Tamaki MAEDA
1
1大阪医科大学第二病理学教室
pp.182-185
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902706
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はじめに
日常の病理形態学的検査で扱われる下垂体は,主に外科的に切除された下垂体腫瘍である.下垂体腺腫に対する内科的治療の発達で,外科的切除の適応症例は減少傾向にあるため,下垂体は形態学的検査では影の薄い存在と言えるかもしれない.しかし下垂体は甲状腺,副腎,生殖器などの機能を制御する何種類ものホルモンを分泌し,その異常はさまざまな病態を引き起こすので,きわめて重要で興味深い臓器である.
下垂体の重量は0.5~0.8gで,視床下部から数ミリの茎で下垂しており,顔の正面から見ると両眼の中間あたり,鼻根部の奥に位置している.下垂体腫瘍の切除は上口唇下の歯肉粘膜から鼻腔(鼻粘膜と鼻中隔の間)を介して経蝶形骨洞的に行われるHardyの手術が一般的である(図1).
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