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抗核小体抗体
竹内 勤
1
1埼玉医科大学総合医療センター第2内科
pp.91
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902678
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抗核抗体は,全身性エリテマトーデス,強皮症,多発性筋炎などの臓器非特異的な自己免疫疾患患者血清で陽性となり,診断に重要な免疫血清学的検査となっている.その中で抗核小体抗体は,従来から行われてきた間接蛍光抗体法で核小体型の染色パターンを示し,強皮症との関連が指摘されてきた1).最近,他の抗核抗体と同様に核小体を構成する分子やその機能が詳細に検討され,全容が明らかとなってきた1,2).これに伴って,抗核小体抗体は,核小体を構成するさまざまな分子に対する自己抗体として,さらに細かく分けて検出されるようになってきた.表1に示すように,さまざまな核小体の成分に対する自己抗体が見いだされている.その多くが,強皮症と関連している.強皮症の90%以上が抗核抗体陽性とされ,抗核小体抗体は15~25%ほどに陽性となるが1),その中にこれらの自己抗体陽性例が含まれる.また,免疫ブロット,免疫沈降法などのこれまで行われてきた方法に加え,アンチセンスリボプローブを使った新しい検出法も最近報告され,感度が高く簡便な方法が今後開発されるものと期待される3).一方,動物モデルでは,抗核小体抗体の産生のメカニズムが検討され始めた.興味深いことに,マウスにおいては,硝酸銀,水銀などの金属によってある種の系統においてのみ,抗フィブリラリン抗体や抗U3RNP抗体の産生が誘導されることが明らかにされている4,5).
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