ミニ情報
急速凍結ディープエッチング法と免疫組織化学
大野 伸一
1
1山梨医科大学第1解剖学
pp.83
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902675
- 有料閲覧
- 文献概要
電顕形態学分野での急速凍結ディープエッチング(QF-DE)法は,水分を多最に含む生物試料を急速凍結後割断し,低温・高真空の装置内で氷を昇華(ディープエッチング)させた後,白金と炭素を回転蒸着して鋳型(レプリカ膜)を採り,電子顕微鏡下で観察する.しかし通常のQF-DE法では,細胞組織内に存在する可溶性蛋白質などが,ディープエッチングに伴い,細胞小器官や細胞外基質構造に非特異的に付着し,微細構造を修飾してしまう.そこで電顕免疫染色のためには,一定条件下で可溶性蛋白質を取り除く必要がある.また,この処理は免疫染色時に抗体を細胞組織内に十分に浸透させるためにも必要である.さらに可溶性蛋白質を除去された細胞組織は,その後速やかに免疫染色とレプリカ膜作製が行われる.
洗浄緩衝液中の軽く固定された試料は,通常の免疫染色手順に従い,各々の1次抗体で処理される.細胞骨格のように,微細構造が単純な場合には,1次抗体のみの修飾で十分に識別が可能である.しかし,未知の構造である場合には,光学顕微鏡所見と比較するために,次のゴールド粒子やペルオキシダーゼ標識2次抗体で免疫染色をする必要がある.この場合,ペルオキシダーゼのDAB反応は,反応時間をできるだけ短くすることが重要である.さらに免疫染色された試料は,レプリカ膜作製前に必ず光学顕微鏡下あるいは実体顕微鏡で免疫反応陽性をチェックする必要がある.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.