特集 免疫組織・細胞化学検査
基礎と技術
8.免疫電顕法
1)包埋前染色法
岸川 正剛
1
Seigo KISHIKAWA
1
1麻布大学環境保健学部環境病理学教室
pp.52-56
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902666
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免疫電顕法の原理
酵素抗体法を応用した染色原理については,光顕観察と電顕観察との間には基本的違いはない.光顕観察では標識酵素の組織化学反応産物を組織標本上で直接観察するのに対し,電顕観察では,この反応産物にオスミウム酸を反応させてオスミウムブラックという高電子密度の物質を形成させて観察する.このような方法は1966年,Nakaneら1)により開発され,抗原抗体反応という特異的反応を基盤に免疫組織化学を応用した方法である.この方法は電顕観察のためのエポキシ樹脂包埋の前に,抗原抗体反応を行うので,preembedding法とも言われている.電顕観察では,4~8μmの凍結切片組織に標織抗体を十分に浸透させることが必要である.そのため,光顕観察の場合の4~5倍以上の抗原抗体反応時間が必要である.そこで抗体の浸透を容易にするため,抗体分子の活性を持ったフラグメントであるFabあるいはFab'のような少さい分子にした抗体を実際には用いる.酵素抗体法の詳細な内容については,すでに専門書が出版されている2)ので,今回は筆者の経験に基づいた具体的な方法について述べる.
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