特集 ホルモンと生理活性物質
各論
11.成長因子系
1) IGF
高橋 義彦
1
,
門脇 孝
2
Yoshihiko TAKAHASHI
1
,
Takashi KADOWAKI
2
1朝日生命糖尿病研究所
2東京大学医学部第3内科
pp.210-212
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902229
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生合成・分泌・機能
insulin-like growth factor (IGF)は以前ソマトメジンと総称されていたもので,現在はinsulin-likegrowth factor-Ⅰ,-Ⅱの2種類として知られている(そのうちIGF-Iはソマトメジン―C,―Aと同一物質である).これらはペプチドホルモンであり,アミノ酸配列はいずれもプロインスリンと約40%の相同性を有し,それぞれに対する特異的な受容体が存在する(IGF-Ⅰ,-Ⅱ受容体).
IGFは,インスリンの約1/100という低い親和性ながらインスリン受容体とも結合しうるという点でインスリンと類似しているが,明らかに違うのは体液中に特異的な結合蛋白(IGFBP;insulin-like growthfactor binding protein)が存在する点である.すなわち,インスリンが体液中に遊離の形で存在するのに対し,IGFは遊離型と結合型の2つの形で体液中に存在する.その結合蛋白は1~6までのアイソフォームが知られており,血液中に最も多く存在するのは3型である.この結合蛋白の機能的意義はよくわかっていないが,多くのペプチドホルモンの中でIGFは血中濃度が比較的高くかつ安定に保たれ,1回の検体採取によりその平均血中レベルを評価することが可能である.
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