特集 ホルモンと生理活性物質
各論
11.成長因子系
2) TGF
加藤 淳二
1
,
瀧本 理修
1
,
新津 洋司郎
1
Junji KATO
1
,
Rishu TAKIMOTO
1
,
Yoshiro NITSU
1
1札幌医科大学第4内科
pp.213-215
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902230
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TGF(transforming growth factor)は,元来は正常線維芽細胞の形質転換にかかわる因子として定義づけられたが,現在では上皮細胞や間葉系細胞に対して増殖促進あるいは抑制といった細胞増殖制御機能を示す増殖因子群として認識されている.TGFには,上述した細胞に対して主に増殖促進に作用するTGF-αと,増殖抑制や線維化促進など多彩な作用を持つTGF-βがある.TGFは他の多くの増殖因子と同様に,種々の癌細胞で合成・分泌されることが知られ,オートクリンによって自身の増殖を促進したり(主にTGF-α),パラクリンによって周囲の細胞の増殖を制御(主にTGF-β)することにより自己の無限増殖を有利にしていると考えられている.最近,血漿中や尿中に腫瘍細胞由来のTGF-αやTGF-βが測定可能となり,新たな腫瘍マーカーや線維化の指標としての意義が注目されつつある1~3).
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