今月の主題 好中球をめぐる検査
話題
血管内皮―白血球相互反応の分子機構―ビデオによる生体内解析法
末松 誠
1
,
宮坂 昌之
2
,
玉谷 卓也
3
,
石村 巽
1
Makoto SUEMATSU
1
,
Masayuki MIYASAKA
2
,
Takuya TAMATANI
3
,
Yuzuru ISHIMURA
1
1慶應義塾大学医学部医化学教室
2東京都臨床医学総合研究所免疫部門
3JT医薬基礎研究所
キーワード:
ローリング
,
L―セレクチン
,
インテグリン
,
酸素ストレス
Keyword:
ローリング
,
L―セレクチン
,
インテグリン
,
酸素ストレス
pp.461-465
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901941
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1.はじめに
近年白血球の表面マーカーが次々に見いだされ,特異的な単クローン抗体も利用できるようになった.このため,臨床検査においても各種の疾患における白血球機能異常を正確に捉えられるようになった.また,特定の接着蛋白の異常症の診断がβ-インテグリン,SLex)の有無により確定できるようになった.しかしながら,これらの"白血球機能異常"と呼ばれている生体内での実際の現象は,つい最近まで十分には明らかにされていなかった.一般に内皮―白血球接着分子と呼ばれるものの性質は,培養内皮上に静置した分離白血球の接着,あるいは,リンパ節やパイエル板に存在するHEV (high endothelial venule)への接着能を凍結切片上で評価する方法が用いられてきた.ところが,培養内皮上を一定のwall shearをかけ層流を形成させ,中に白血球を流すことにより,白血球接着を動的に二分(rollingとstick-ing)し,定量的に評価する試みが1990年ごろから盛んになった1).このような動きは,1980年代初頭から行われてきたin vivoにおける白血球接着反応の動態解析とin vitroの系との間を補うものとして出てきたものである.
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