今月の主題 抗菌薬感受性試験
巻頭言
抗菌薬感受性試験の方向
五島 瑳智子
1
Sachiko GOTO
1
1東邦大学医療短期大学
pp.825-826
発行日 1993年8月15日
Published Date 1993/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901622
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抗菌薬感受性試験は,抗菌薬開発の初期から,種々の方法で行われていた.もちろん基礎研究における各種の抗菌力測定と,日常の臨床検査室での感受性試験とは目的が異なるので,測定法も後者は迅速性,簡便性を必要とする定性的方法が用いちれてきたが,その間をつなぐ"ものさし"として,菌に対する薬剤の最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration;MIC)をおくことは,国際的に一致している.
MICについては,日本化学療法学会が,1968年に初めて標準法を設定したが,その後,耐性菌の問題,培地の問題などで新事実が明らかになるたびに,それに対応した改定がされてきた.しかし,諸外国のMIC測定法とは必ずしも一致せず,欧米では主として液体培地による希釈法が用いられてきたのに対し,日本では寒天平板希釈法が行われてきた.さらに測定の手順や手技を省力化するための機器が開発されるに及び,これらが液体培地を用いた方法であることから,微量液体希釈法による標準法を設定し(1989年),これらの機器の評価を可能にした.これによって国内では寒天培地希釈と,液体培地希釈の2方法の標準法が設定されたことになる.MIC測定にはその実施過程で多くの変動因子が関与するため,2つの方法によるMICの値は,薬剤や菌種によっては若干の差がある.
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