特集 遺伝と臨床検査
II DNA診断
1.DNA診断のための基本的操作
3)サザンブロッティング法
和田 知益
1
,
大谷 英樹
1
Chieki WADA
1
,
Hideki OHTANI
1
1北里大学医学部臨床病理
pp.43-46
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901276
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●はじめに
近年,遺伝子工学の技術的発展は目覚ましく,これら技術の導入によって多くの疾患の遺伝子の異常が解明され,現実に疾患の遺伝子レベルの解析が可能となりつつある.遺伝子の異常を解析する最も一般的で基本的な操作法が,ここで取り上げるサザンブロッティング法(Southern blotting;以下サザン法と略)である.サザン法は1975年にE.M.Southern1)により考案されたDNA解析法で,考案者の名前からサザン法と命名されている.当初はクローン化されたDNAの制限酵素地図の作成に用いられたが,改良が加えられ真核細胞のゲノムの解析に応用されるようになっている.
サザン法のあらましを図1に示した.DNA試料を制限酵素で処理し,制限酵素で切断されたDNA断片をアガロースゲル電気泳動によって大きさごとに分画する.分画されたDNA断片をゲルからフィルター上に写し取り,レプリカを作る.この写し取る操作は,ブロッティングあるいはトランスファーと呼ばれる.目的とする遺伝子を検出するための標識されたプローブを加えると,フィルター上でプローブと相補的な塩基配列を持つDNA断片とハイブリッドが形成される(ハイプリダイゼーション).標識されたプローブとハイブリッドを形成したDNA断片はオートラジオグラフィーにより検出される.
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