血管病変の病理・1【新連載】
動脈の形態と機能
桜井 勇
1
,
新橋 真理
1
,
生沼 利倫
1
Isamu SAKURAI
1
,
Mari NIIHASHI
1
,
Toshinori OINUMA
1
1日本大学医学部第二病理学教室
キーワード:
攣縮
,
生理活性物質
,
血圧
Keyword:
攣縮
,
生理活性物質
,
血圧
pp.769-776
発行日 1992年7月15日
Published Date 1992/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901150
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動脈は生きものである.ただの管ではない.精神的興奮,自律神経系の刺激,さまざまな生理活性物質によって複雑に統御されている.また,動脈を構成する内皮細胞,中膜平滑筋細胞,間質など相互に作用し合って動脈としての収縮・拡張反応を示す.
動脈硬化症は癌とともに日本人の二大死因であり,これの発生・進展因子を解明し,予防や治療につなげることは国民保健の面からも極めて重要である.動脈硬化症の発生・進展にはさまざまな危険因子があり,動脈の中を流れる血液の構成成分や流動力学とのかかわりもあってその機序は極めて複雑であり,血液成分と動脈壁構成成分との関連を時間の推移ととも考えねばならず,その理解にはダイナミックな思考を要求される.動脈硬化症という病変を理解するためにも動脈の正常な状況下におけるさまざまな反応性を理解しなければならない.〔臨床検査36:769-776,1992〕
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