今月の主題 循環生理機能検査の進歩
巻頭言
循環機能検査の昨今
小沢 友紀雄
1
Yukio OZAWA
1
1日本大学医学部第二内科学教室
pp.583-584
発行日 1992年6月15日
Published Date 1992/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901097
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循環器系の生理機能検査の中心は,30年前には心電図と心音図が中心であり,心電図室というのがその検査室の名称であった.その後,ベクトル心電図や種々の脈波(心音図との組み合わせで心機図とも呼ばれた.)が一部の検査室で行われるようになり,その頃から循環機能検査室というような名称を用いる施設が見られるようになった.さらに心エコー図が出現して,現在の循環機能検査の主体は心電図と心エコー図となり,心音図は衰退していった.
心電図の歴史は実に長いが,現在でも必要欠くことのできない検査としてその地位を確固たるものとしている背景には検査の簡便さや再現性の良さ,それに心臓電気現象の把握には他に代わる検査法がないことが挙げられる.基本はやはり12誘導心電図であるが,他の診断機器の進歩に伴い新しく見直された所見も少なくない.心電図検査の第一世代を12誘導心電図とすると第二世代はおそらくホルター心電図であろう.時間軸上に検査を延長することで,特に発作的に出現する不整脈や心筋虚血の診断に有力な情報を提供するようになった.R-R間隔の変動の解析などによる自律神経機能の診断や突然死との関連など興味ある報告もある.第三世代には体表面心臓電位図と加算平均心電図が挙げられるかもしれない.これはいまだ特定の施設で施行している研究の色彩の強い検査であるが市販の機器が出ている.特に加算平均心電図は心室遅延電位などの心臓微小電位の検出とその臨床応用を目的として最近注目されている検査法である.
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