特集 電解質と微量元素の臨床検査ガイド
各論
1 生体に必要な元素
12)マンガン(Mn)
田中 幸夫
1
Yukio TANAKA
1
1(カナダ)モントリオール小児病院生化学部
キーワード:
血球中Mn
,
標準添加法
,
Mn欠乏
,
痙攣性疾患
,
Mn中毒
Keyword:
血球中Mn
,
標準添加法
,
Mn欠乏
,
痙攣性疾患
,
Mn中毒
pp.1431-1433
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900345
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はじめに
マンガン(Mn)が生体の機能に必須であることは何十年も知られているが,はたしてどのように作用しているのかについては,あまりよく理解されていない.同じことが,多くの超微量元素についてもいえる.この理由についてはいろいろ考えられるが,まず第一に,絶対量が少ないこと(70kgの人体中に10~20mg程度),さらに正確な分析が容易でなく,コンタミネーションが原因となって誤った分析結果を出しやすいことが主な問題である.また現在最も広く使用されている分析方法(フレームレス原子吸光法)では,組織なり体液中のMn全量を測定するのが精一杯である.したがって,例えば血清蛋白を分離してどのフラクションにMnがどれだけ結合しているのかというようなことを測定できない.この点で銅(Cu)や亜鉛(Zn)とは様子が大変違う.
Mnの生理作用の機構がよくわかっていないのは,分析法の限度によっているので,将来,感度の向上に伴って機構も徐々に解明されていくと思われる.
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