増大号 AKI・CKDの診断・治療に臨床検査を活かせ
3章 腎疾患と臨床検査
腎にフォーカスした血液ガスの見方
猪阪 善隆
1
1大阪大学大学院医学系研究科腎臓内科学
キーワード:
アニオンギャップ
,
AG
,
代償機構
,
補正[HCO3−]
Keyword:
アニオンギャップ
,
AG
,
代償機構
,
補正[HCO3−]
pp.432-435
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203579
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動脈血と静脈血
血液ガスを測定する場合,通常は動脈血ガスを用いる.特に呼吸機能を把握する場合は,動脈血ガスによる二酸化炭素分圧(carbon dioxide partial pressure:PCO2),酸素分圧(oxygen partial pressure:PO2)検査が必須である.
一方,アニオンギャップ(anion gap:AG)の計算や[HCO3−]の測定は静脈血ガスでも問題ない.表1に示すように,静脈血[HCO3−](下記*参照)のほうが動脈血に比べてやや高いが,HCO3−増加分だけCl−が赤血球内に移動するため(クロライドシフト),AGは変化しない.慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者に対して定期的に[HCO3−]検査を行う場合などは静脈血ガスで十分である.
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