増大号 検査血液学レッスン 検査結果の乖離をどう判断するか
3章 フローサイトメトリー
細胞内抗原解析の注意点
林田 雅彦
1
1公益財団法人天理よろづ相談所医学研究所
キーワード:
フローサイトメトリー
,
FCM
,
細胞内抗原染色
,
固定・透過処理
,
ミエロペルオキシダーゼ
,
MPO
,
terminal deoxynucleotidyl transferase
,
TdT
Keyword:
フローサイトメトリー
,
FCM
,
細胞内抗原染色
,
固定・透過処理
,
ミエロペルオキシダーゼ
,
MPO
,
terminal deoxynucleotidyl transferase
,
TdT
pp.1172-1175
発行日 2022年10月15日
Published Date 2022/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203128
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はじめに
フローサイトメトリー(FCM)による造血器腫瘍細胞抗原検査は病型分類および治療方針や予後推定に重要である.しかし,急性白血病細胞は未成熟な段階であることから,細胞表面における系統特異的な抗原の発現が弱いもしくは欠失,腫瘍細胞であるが故に他の系統抗原の異常な発現を認めることがあり,系統帰属の決定に苦慮する.特に混合表現型急性白血病は,細胞内抗原と細胞表面抗原の多重染色が必要となる1).FCMの正確な測定は,さまざまな細胞および細胞成分によるバックグラウンド蛍光によって妨げられることがある.バックグラウンドの原因には,自家蛍光,蛍光スペクトルの重なり,非特異な抗体の結合や吸着が存在する.これらの要素を十分に理解し,バックグラウンドの最小化および抗原陽性と陰性細胞の確実な識別は,細胞表面および細胞内抗原の解析において重要である.細胞内抗原のための固定・透過処理は,抗体との親和性や特異性の低下の要因となり,さらに陰性閾値の設定が困難であることから施設間差の原因となる.
本稿では,造血器腫瘍細胞抗原検査における細胞内抗原染色の注意点について解説する.
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