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生理機能
クロージングボリューム検査では,なぜ低流速での検査が求められるのですか? 呼出時に高流速となった場合の結果の解釈はどうすればよいですか?
高谷 恒範
1
1奈良県立医科大学附属病院中央臨床検査部
pp.470-471
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202691
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換気血流比の不均等を検出する方法
健常人でも,重力の影響や解剖学的構造によって換気と血流は不均等に分布する.疾患になれば不均等性が一段と増大し,換気血流比不均等の結果,ガス交換障害(換気障害)が起こって低酸素血症が生じる.胸腔内圧は坐位のとき,重力の影響を受けるため,陰圧の程度は肺底部より肺尖部で高くなる.胸腔内圧は肺の部位が異なると肺容量に違いが生じる.最大吸気を行った全肺気量位では,肺尖部・肺底部にかかる胸腔内圧に違いがあっても容量にほとんど差が生じない.しかし,呼出を行って肺容量が低下していくと気道を外側に牽引する力が低下するため,低肺気量になると気道の開存性が維持できなくなって気道閉塞が起こる.坐位の場合,肺底部で肺尖部より胸腔内圧が高く,肺胞容量は低下している.そのため,肺底部から気道閉塞が起こる.これは,最大呼出時の残気量位よりも高い肺気量位で起こる.また,気腫化でみられる肺の弾性収縮圧低下や気道狭窄などの病的な状態では不完全な気道狭窄が早期で起こるため,正常な状態より早く気道閉塞が起こる.クロージングボリューム(CV)測定では,その気道閉塞が起こる初期の状態を反映しているため,末梢気道病変の早期検出に有用な臨床肺機能検査法として位置付けられている.
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