増刊号 臨床検査スターターズガイド
1章 スターターズ必修! 検査業務の基礎知識
臨床検査室の環境衛生と感染防御
木村 由美子
1
1自治医科大学附属病院臨床検査部
pp.358-359
発行日 2017年4月15日
Published Date 2017/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201154
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臨床検査室には多種多様の検体が届き,また,多くの患者が集まります.感染リスクは採血室,血液・尿・髄液などを取り扱う各検査室,細菌などの病原体を扱う微生物検査室,生体組織の病変を調べる病理検査室など,ほとんどの場所に存在します.具体的には,採血時の針刺切創や検査材料の粘膜曝露による血液媒介感染症(B型肝炎ウイルス,C型肝炎ウイルス,ヒト免疫不全ウイルスなど)が挙げられます.また,採血室や生理機能検査室では患者と直接接触するため,インフルエンザウイルスなどによる飛沫感染や結核菌などによる空気感染,また薬剤耐性菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌,基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生菌,多剤耐性緑膿菌など)による接触感染のリスクがあります.以上のことから,臨床検査室では自らの感染防止と感染拡散防止のために,まずは環境衛生を心掛け,標準予防策を基本とした感染対策を確実に実行し,検査室および患者の安全に寄与しなければなりません.本稿では検査室の感染対策について総論を述べます.
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