増刊号 臨床検査スターターズガイド
1章 スターターズ必修! 検査業務の基礎知識
採血における患者と術者のリスク
米山 里香
1
,
大西 宏明
1
1杏林大学医学部付属病院臨床検査部
pp.340-341
発行日 2017年4月15日
Published Date 2017/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201145
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現代の医療現場において血液検査は必須であり,採血行為は日常的に行われています.しかし,採血には合併症や事故が伴うことについてはあまり知られていません.合併症や事故によるトラブルを回避するためには,採血にもリスクが存在することを患者に理解してもらったうえで臨むことが理想です.しかし,全てのリスクを説明し同意を得ることは日々の業務上現実的ではありません.そこで,まず術者が採血における合併症をしっかり理解し,リスクの回避を目指すことが重要です.そのためには,決められたルールにのっとった手技を行うことが必要です.過去に裁判に至った判例では,施設のマニュアルに従って採血を行っていた術者には過失を認めず,一方慣行から逸脱した行為を行った術者には過失ありとされた事例があります.
日本臨床検査標準協議会(Japanese Committee for Clinical Laboratory Standards:JCCLS)では,採血を受ける者および医療従事者の安全が得られるように,「標準採血法ガイドライン(GP4-A2)」1)を発行しています.患者と自分の両方を守る意味で,採血を行う際にはガイドラインに沿った手技を行ってください.また,各施設でもガイドラインに沿ったマニュアルを作成することが望まれます.
本稿では,合併症を回避するために必要な知識を紹介していきたいと思います.
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