遺伝医療ってなに?・9
遺伝性疾患から薬が生まれる
櫻井 晃洋
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1札幌医科大学医学部遺伝医学
pp.932-933
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200427
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「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)が2015年1月に施行され,公費助成の対象となる疾患が,これまでの56の“特定疾患”から306の“指定難病”に増えることになった.新しい指定の対象者は160万人になるということである.厚生労働省が定義する“難病”とは,①発症機構が明らかではなく,②根本的治療法がなく,③希少で,④長期の療養を必要とする疾患,である.これらの要件を満たし,診断基準も確立していながら指定に至らない疾患はまだ多数あるが,それでも指定された疾患数が増え,少しでも指定疾患と非指定疾患との間の不公平感,不公正感が解消されていくのであれば,それは喜ばしいことである.
ところで,新たな306疾患のうち約60%は単一遺伝子疾患もしくは単一遺伝子疾患を含む疾患群である.こうした疾患の診断を正確に確定するためにも,今後,ますます遺伝子診断の重要性は大きくなっていくことは疑いようがない.こうしたときに威力を発揮するのが,急速に普及している次世代シークエンサー(next generation sequencer)であるのは前号で述べた通りである.普及の速さとその能力の高さを考えると,もはや“次世代”ではなく“現世代”,せいぜい“新世代”と呼ぶのがふさわしいように思う.
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