異常値をひもとく・20
好中球増多症(骨髄腫による)
中村 小織
1
1伊勢赤十字病院 医療技術部臨床検査課
pp.1101-1106
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542104013
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はじめに
末梢血液を測定して白血球数(white blood cell count:WBC)が一般的に10,000/μL以上増加を示した場合,白血球増加症といわれる.主に好中球増加を認める場合が多いが,リンパ球や好酸球の場合もあるため,白血球の分画を確認する必要がある.好中球増加症は細菌性感染,炎症,組織傷害や造血器疾患を含めた悪性腫瘍,副腎皮質ステロイド薬投与などの薬物,ストレスなどさまざまな要因によって引き起こされる.慢性的な好中球増多を示す造血器腫瘍は,主に慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia:CML),慢性好中球性白血病(chronic neutrophilic leukemia:CNL)が挙げられる.また重症感染症では,幼若顆粒球の出現(左方移動)を伴うことがある,特に反応性にWBCが50,000/μL以上に増加した場合を類白血病反応といい,重症感染症や腫瘍の骨髄転移,顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony-stimulating factor:G-CSF)産生腫瘍などでみられる1,2).本稿では,白血球増加を伴った症例3例を提示し,患者背景を踏まえつつ,データ解析と合わせて検査結果を読み取る.
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