異常値をひもとく・17
高密度リポ蛋白質コレステロールが異常低値を示し,扁桃腺が腫大した女子症例
櫻林 郁之介
1
1一成会さいたま記念病院
pp.628-637
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103902
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はじめに
リポ蛋白のなかで高密度リポ蛋白質コレステロール(high-density lipoprotein cholesterol;HDL-C)は,低密度リポ蛋白質コレステロール(low-density lipoprotein cholesterol;LDL-C)と比較すると注目度が低い.LDL-Cは一般的に悪玉コレステロールとも呼ばれているが,その理由は値が上昇した状態が続くと動脈硬化を起こすことが知られているためであり,また臨床での注目度が高い.一方,HDL-Cは高値を示す例では長寿症候群とも呼ばれ,善玉コレステロールと呼ばれる根拠になったように高値は問題がなく,むしろ低値が問題になるために一般の人々の注目度が低い.
しかし,HDL粒子はコレステロールの逆転送経路と呼ばれるコレステロールを細胞から引き抜き,体の外に出してやる経路において重要な役割をもっているので1),もう少し関心をもつべきであろう.特にHDL-C低値を持続的に示す症例においては,時に重大な意味をもつ場合があるので日常の臨床検査に注意を払わねばならない.図1にHDL-C低値がみられた場合の対処法を示してある.
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