異常値をひもとく・15
自動血球計数装置において異常細胞集団が出現した卵形マラリア
石濱 裕美子
1
1東京都立墨東病院 検査科
pp.385-390
発行日 2014年3月15日
Published Date 2014/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103841
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はじめに
マラリアはハマダラカの刺咬によりPlasmodium属のマラリア原虫が体内に侵入して起こる疾患である.ヒトが感染するマラリアは三日熱(P. vivax),四日熱(P. malariae),卵形(P. ovale),熱帯熱(P. falciparum)の4種類が知られているが,近年第5のマラリアとしてサルマラリアの1種であるP. knowlesiによる感染事例が,東南アジアの広い地域で報告されている.マラリアは世界人口の最大40%が感染の危機にさらされている疾患であり,2012年では2億700万人が罹患し,死亡者は62.7万人と推計されている(WHOホームページ:http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs094/en/index.html).日本におけるマラリア報告数は,2010年からは年間70例台で推移している(国立感染症研究所ホームページ:http://www.nih.go.jp/niid/ja/idwr.html).
当院は感染症外来をもち,年間約60件のマラリア検査依頼がある.毎年マラリアと診断される患者が発生し,2005~2012年の8年間で27名を数える.本症例は血算の測定を契機に卵形マラリアの診断につながった1例である.
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