樋野興夫の偉大なるお節介・2
国を超えて,時を超えて,懸け橋をつくる!~国際教養の人材資質~
樋野 興夫
1
1順天堂大学医学部 病理・腫瘍学
pp.278-279
発行日 2014年2月15日
Published Date 2014/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103816
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第59回日本病理学会秋期特別総会(甲府)に出席した.筆者は,ランチョンセミナー「リンチ症候群診断へのミスマッチ修復蛋白質に対する免疫染色の応用」の座長の機会が与えられた.近年,遺伝性腫瘍に関する注目度が高まり,このテーマでは,今年7月の日本家族性腫瘍学会(別府)のランチョンセミナーに引き続き,2度目である.リンチ症候群は,「ミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞系列変異を原因とする常染色体優性遺伝性疾患である」と定義され,この診断に免疫組織化学的検査が重要な役割を果たす時代到来である.まさに「風貌を見て,心まで診る」=「病理細胞形態を見て,遺伝子まで診る」病理医の時代的出番である.今後,遺伝に関する指針やガイドラインに沿った検査の実施が必要となろう(拙著『リンチ症候群とミスマッチ修復遺伝子~疾患の概要と免疫組織学的検査を中心に~』,Advanced Staining News,2013年11月号参照).
厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等克服研究事業(難治性疾患克服研究事業)「神経皮膚症候群に関する調査研究班」で,筆者は,「結節性硬化症」について発表する機会が与えられた.米国・癌研時代の研究テーマ「遺伝性がん疾患モデル」から,単離・同定した遺伝子(1994年)が,ヒト結節性硬化症の原因遺伝子(TSC 2)のホモローグであった.中皮腫のマーカー(expessed in renal carcinoma;ERC)も,このモデルの多段階発癌の解析中に単離・同定したものである(1995年).まさに「小さな源流から拡がる本流」の川の流れのごとくである.
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