次代に残したい用手法検査・1【新連載】
電解質炎光光度法
関口 光夫
1
1千葉科学大学危機管理学部医療危機管理学科
pp.805-810
発行日 2013年7月15日
Published Date 2013/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103479
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はじめに
血清電解質の代表的な元素はナトリウム(Na),カリウム(K),クロール(Cl)である.これらの元素は生体中ではイオンとして存在する.生体内では浸透圧,酸-塩基平衡の維持,神経・筋肉の興奮,伝達などに重要な働きをしている.
炎光光度法(flame photometry/flame atomic emission spectroscopy)で測定可能な元素は比較的励起エネルギーの低いアルカリ金属〔リチウム(Li),Na,K,セシウム(Cs)〕とアルカリ土類金属〔カルシウム(Ca)〕の一部である.血清中では主にNa,Kが対象となる.Liの血清中濃度は5~6μmol/L程度とされており,その生理的あるいは病態的意義を調べるために測定されることはない.しかし,Li製剤投与時の薬物血中濃度モニタリング(therapeutic drug monitoring;TDM)として血清中Liが測定されることがある.その治療域濃度は0.6~1.2mmol/Lとされており,その濃度が2mmol/L以上になると中毒が出現するといわれている1).
本稿では主に血清Na,Kの測定を中心に炎光光度法について記述する.
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