検査機器のメカニズム・31
炎光光度計
内野 興一
1
1(株)日立製作所那珂工場
pp.790-791
発行日 1974年7月15日
Published Date 1974/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908612
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1.原理と構造
高温中におかれた原子はその元素特有の波長の光を放射するという性質を利用して分析を行うのが炎光法である。炎光光度計は試料を霧状にしてフレーム中に導いて発光させるバーナーを備え,これによる発光から目的元素の波長光だけを選び出して検知器で受け,光電流に変換したものを増幅してメーターに表示するというものである.その基本的な構成を図1に示す.このような方式を通常外部標準方式と呼んでいる,これに対して内部標準方式があり,これは試料にあらかじめ一定量の標準物質を添加しておき,標準物質,および分析目的元素を同時に測定してその比を表示させるというものである.その測光原理を図2に示す.フレームからは分析目的元素(図2ではナトリウム)の光と標準物質の光が放射され,それぞれ干渉フィルターによって分離されて別々の検知器によって受けられる.それぞれの検知器からの光電流は増幅されたのち,両者の比が計算されてメーターに表示される.こうすることによって,種々の原因に基づくフレーム変動の影響が補償される.たとえば,分析目的元素の発光が10%低下した場合は標準物質の発光も同じく10%低下しているからその比は変わらず,発光強度の変化は測定値に影響しないことになる.なお,内部標準方式として図3に示すような構成をとることもでき,効果は同じである.
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