異常値をひもとく・5
特発性血小板減少性紫斑病の患者血清中から検出されたまれなIgG3κ-CK-MM型マクロCK1の検索方法
金光 房江
1
1元倉敷中央病院臨床検査科
pp.577-583
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103422
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はじめに
クレアチンキナーゼ(creatine kinase;CK)-MBは心筋に特異的かつ高活性に存在するが,急性心筋梗塞初期でも血清CK-MB/CKはたかだか25%止まりのことが多い1).しかし,血中にCK-BBやミトコンドリアCK(Mi-CK),マクロCK1などが存在すると,免疫阻害法では25%以上になることがあり2),逆にCK-MB/CKに上昇がみられると,これらCKの存在が推測できる.しかし,今回取り上げる特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura;ITP)の一例はCK-MB/CKが7%で,このデータのみではマクロCK1の存在は推測困難であった3).さらに,通常のマクロCK1は持続的で変化に乏しい例が多いが,このマクロCK1は短期間で血小板数とは逆方向に変化し,病態との関連が示唆された3).
本稿では,このまれなマクロCK1について,構成する免疫グロブリンとアイソザイムの検索・同定方法を中心に解説する.
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