異常値をひもとく・1【新連載】
支持体により電気泳動移動度が異なり,免疫グロブリン定量値にも乖離を認めた多発性骨髄腫
藤田 清貴
1
,
小林 香保里
2
,
亀子 文子
3
1群馬パース大学保健科学部検査技術学科
2佐久総合病院臨床検査科
3信州大学医学部保健学科検査技術科学専攻
pp.86-92
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103321
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はじめに
臨床検査で見いだされる異常蛋白質の代表的なものはmonoclonal蛋白(M蛋白)であり,そのクラスは血中濃度に比例しIgG型,IgA型,IgM型の順に多く,M蛋白の約85%は3つのいずれかのクラスに属する.それ以外では,Bence Jones蛋白(Bence Jones protein;BJP)型が約12%,IgD型が約3%,IgE型が0.1%以下の頻度と報告されている.特に,IgD型,IgE型M蛋白は見逃されやすい異常蛋白質であり注意が必要である.
また,日常検査では異常蛋白質と体液性成分との結合や相互作用,あるいは測定試薬(物質)との反応によって病態を反映しない異常値や,奇妙な電気泳動パターンに遭遇し判断に迷うことが少なくない.これらの現象は,一般に異常反応1),あるいはピットフォール(pitfall)と呼ばれているが,日頃の精度管理だけで発見できるものではなく,異常データを見いだし,的確に対処できなければ誤診につながる可能性が高い.
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