Japanese
English
今月の主題 尿路結石
話題
尿路結石症の遺伝子多型
Polymorphism on urolithiasis
安井 孝周
1
,
濵本 周造
1
,
岡田 淳志
1
,
郡 健二郎
1
Takahiro YASUI
1
,
Shuzo HAMAMOTO
1
,
Atsushi OKADA
1
,
Kenjiro KOHRI
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科腎・泌尿器科学分野
キーワード:
尿路結石
,
遺伝子多型
,
オステオポンチン
Keyword:
尿路結石
,
遺伝子多型
,
オステオポンチン
pp.303-308
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102954
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1.はじめに
尿路結石の生涯罹患率は食生活の欧米化に伴い上昇し,日本人男性の15%,女性の7%が罹患する1).その発症は,生産年齢の男性に多く,成因の究明と再発予防法の確立は急務であるが,遺伝子レベルに研究が進んでからも画期的な再発予防法は開発されていない.
尿路結石は,原因遺伝子により発症する単因子遺伝病と,疾患感受性遺伝子と環境因子が加わり発症する多因子疾患の両者が存在する疾患群である.単因子遺伝病と考えられるのは尿路結石のごく一部で,シスチン尿症,原発性高シュウ酸尿症,Dent病,遺伝型遠位尿細管アシドーシス,2,8-デヒドロキシアデニン結石などが存在し,責任遺伝子が報告され,機能解析が行われている.一方,尿路結石の約90%を占めるカルシウム結石は,遺伝要因の存在下に,食生活,生活習慣などの環境因子が重なり発症すると考えられているものの,単一の遺伝子異常では説明できていない.しかし,家族性発生の報告や,5年で50%程度と言われる高い再発率などからも,いわゆる素因といった先天性因子の存在が考えられる.2003年4月には,約30億のヒトゲノムシーククエンス解析2)が完成されたが,遺伝子産物の機能が完全には解明されていないのが現状である.
本稿では,カルシウム結石の遺伝子多型の知見を中心に概説する.
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