映画に学ぶ疾患・23
「悲しみが乾くまで」―麻薬中毒のしくみ
安東 由喜雄
1
1熊本大学大学院生命科学研究部病態情報解析学分野
pp.40
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102899
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オードリー(ハル・ベリー)は2人の子ども,そして男気のある優しい夫ブライアンに囲まれ,幸せに生活していた.夫の仕事も順調で充実した日々を過ごしている.映画「悲しみが乾くまで」の話である.
しかし,ある日の夕方,ブライアンは買い物に出た折,夫婦げんかを目のあたりにする.見過ごすことのできなかった彼は仲裁に入り,暴力を受けている妻を助けようとするが,逆上した夫に銃で撃たれあえなく死亡する.葬儀の日,カメラが執拗にクローズアップするのは,だらしない顔をしたジェリーである.彼はブライアンの親友で弁護士であったが,ヘロインに溺れ,世人から敬遠されているようだ.オードリーはこの腑抜けた友人をよくは思っていなかったが,生前夫が優しく接していたことは知っていた.
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