今月の主題 唾液の臨床検査
巻頭言
唾液の臨床検査
片山 善章
1
Yoshiaki KATAYAMA
1
1神戸常磐大学保健科学部医療検査学科
pp.759-760
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102012
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検体検査は尿,血液,髄液,穿刺液,関節液,消化液,羊水,精液,汗,組織片,遊離細胞,骨髄細胞など特殊なものを含め,多くの検査試料を対象として検査を行うが,大部分は血液(血漿,血清),そして尿が一般的に検査試料として用いられている.尿は無侵襲的に採尿するが,採尿の困難な,あるいは尿が出にくい患者さんには負担である.血液は採血しなければならない,いわゆる侵襲的になるので患者さんに苦痛を与える.また,採血は臨床検査技師や看護師,医師などの技術的に精通した医療スタッフが関与しないといけない制限がある.このような患者さんに負担がかかる試料採取は臨床検査が1950年頃に本邦に導入されてから現在まで続いている.
患者さんに負担のかからない試料採取法については,20数年前に,「蚊」の吸血機構を臨床検査における採血に応用できないかというテーマの講演を聴いたことがある.インターネットで検索をしてみると「東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 蚊の吸血機構を採り入れた自動採血装置の開発」「蚊の吸血機構を採り入れた自動採血の試み.日本臨床化学会,大津,2001年6月」が見つかった.ほかにも生体工学関係の数大学が蚊の吸血機構を研究のテーマにしているが,現実的にはどこまで研究が進んでいるのか,話題になっていないことから推測すると具現化は困難か,もっと時間がかかるように思われる.
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