今月の主題 妊娠と臨床検査
話題
膣内細菌培養の意義
齋藤 滋
1
Shigeru SAITO
1
1富山大学医学薬学研究部産科婦人科学教室
pp.463-465
発行日 2009年4月15日
Published Date 2009/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101952
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1.はじめに
妊婦検診で膣鏡診をした際,膣分泌物の性状をチェックし,不快な臭いがないかどうかをチェックされておられることと思う.アミン臭のある灰色で漿液性帯下は細菌性膣症の特徴であるが,約50%の患者は無症状である.膣内細菌培養検査の施行について,産婦人科診療ガイドライン産科編2008では妊娠33~37週に膣周辺の培養検査を行いB群溶連菌(GBS)の検出を行うことを推奨している(推奨レベルB)1).GBSの保菌者に対しては分娩時にペニシリン系薬剤を静注し母子感染を予防することができる.GBS保菌者の多くは無症状であるため,スクリーニングは全妊婦を対象とすることが望ましい.
一方,妊娠初期の膣分泌物培養検査については一定の見解は得ていないが,日本産科婦人科学会周産期委員会が周産期2次,3次医療機関に対して行ったアンケート調査では,54/122(44.3%)に膣分泌物細菌培養が行われている状況にあった.後方視的検討ではあるが膣内細菌培養を施行している施設のほうが早産率が有意に低いとするデータが得られている.またCochran Reviewにおいても妊娠20週までに膣内細菌培養を行い治療すると早産率を半減させることが紹介されている2).本稿では妊婦における膣内細菌培養の意義につき解説する.
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