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ヒトの甘味認識の閾値昼間変動は血漿レプチン濃度と相関する
鈴木 優治
1
1埼玉県立大学保健医療福祉学部
キーワード:
甘味認識
,
閾値
,
生理変動
,
レプチン
Keyword:
甘味認識
,
閾値
,
生理変動
,
レプチン
pp.242
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101904
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最近,末梢味覚器官がレプチンの標的器官の一つであることが見いだされた.痩せたマウスでは,レプチンは他の味覚刺激に対する応答に影響を及ぼすことなく,選択的に甘味化合物に対する味覚神経応答や行動応答を抑制したが,レプチン受容体欠損の肥満糖尿病db/dbマウスは甘味に対するこのレプチン抑制を欠いていた.
著者らはヒトにおけるレプチンと甘味との潜在的な関連をさらに調べた.研究では,非肥満者91人を対象として種々の味覚刺激に対する認識閾値を測定した.また,通常食と制限食の条件下で血漿レプチン濃度をELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)法により測定した.甘味化合物の認識閾値は8~22時に昼間変動を示し,レプチンの変動と平行していた.閾値は朝に最低,夜に最高であった.この昼間変動は甘味選択的であり,他の味覚刺激(食塩,クエン酸など)の閾値には見られなかった.甘味閾値の昼間変動は通常の3食摂取においては食事時間とそれによる血液グルコース濃度とは関係がなかった.一日1食または2食の制限下でレプチンが位相移動したとき,甘味閾値の昼間変動も平行移動した.
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