今月の表紙 帰ってきた真菌症・2
病原性Aspergillus属
矢口 貴志
1
Takashi YAGUCHI
1
1千葉大学真菌医学研究センター系統化学分野
pp.144-146
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101901
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Aspergillus属は世界各地の土壌,空中,穀物をはじめとする食品など生活環境から高頻度に分離されPenicillium属と並んで最も普遍的な真菌の1つである.その中には,マイコトキシンの生産や,食品の事故原因菌として食品衛生上問題となる菌種もある.また,日本をはじめとする東アジアでは,古くから味噌,醤油,酒など発酵食品の製造に使用されている.
アスペルギルス症は,Aspergillus属によって生じる疾患の総称である.多くの場合呼吸器が侵されるが,いずれの組織,臓器も侵される可能性がある.肺のアレルギー,角膜,外耳道以外の場合,ほとんどが日和見感染として生じる.主要な病型は,肺アスペルギローマ(pulmonary aspergilloma),アスペルギルス肺炎(Aspergillus pneumonia),アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(allergic bronchopulmonary aspergillosis;ABPA),播種状アスペルギルス症(disseminated aspergillosis),皮膚アスペルギルス症,脳アスペルギルス症,角膜アスペルギルス症,副鼻腔のアスペルギローマ,耳アスペルギルス症である1).
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.