今月の表紙 臨床微生物検査・10
類鼻疽菌
國島 広之
1
Hiroyuki KUNISHIMA
1
1東北大学大学院内科病態学講座感染制御・検査診断学分野
pp.1072-1074
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101737
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【類鼻疽について】
類鼻疽(メリオイドーシス)は,Burkholderia pseudomalleiを原因菌とするヒツジ・ヤギ・ブタなどとの人獣共通感染症であり,主に北緯20度,南緯20度の間に位置する東南アジア,オーストラリア北部,中国などでみられる感染症である.B. pseudomalleiは,土壌,水田などの自然環境に生息する好気性のブドウ糖非発酵のグラム陰性桿菌で1),MacConkey agarに数日で特有の臭気を有する皺のあるコロニーが発育し(図1),API 20NEなどのキットにて同定可能である.
本菌は,損傷皮膚から経皮的,あるいは経気道的に感染し,全身の臓器に膿瘍を形成する.雨期に患者が増加し,腎機能障害や耐糖能異常の患者に多いものの,健常人にも発症する2).また,本菌は細胞内にて増殖することが知られており,数十年後の再燃の報告もみられる.東南アジアでは致死率および再発率も高い感染症である.ヒトからヒトへの伝播は稀である.わが国では海外渡航者などの輸入感染症として見られることがある3).
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